「コンテンツと記憶」に向けて その1

さて、半年ぶりのブログ更新になります。師走です。廊下を走って、「師走だからですか」と聞かれないようにしましょう(あずまんが大王ネタ)。2週間後には本学会の大会が開催されることになります。あっという間です。

http://www.contentshistory.org/2012/11/12/1254/

まずは大会に向けて、なぜ「コンテンツと記憶」というタイトルで行うことになったのかという経緯について説明をいたしましょう。昨年の大会は「オタク・ファン・マニア」というテーマで行われました。2日間行われた大会において、特に2日目の「オタクである覚悟」というシンポジウムは宇田川岳夫さん、永山薫さん、三崎尚人さん、伊藤剛さんという素晴らしい皆様にご登壇いただき、もはや大学の先生というよりオタクの先生としてお馴染みの本学会の吉田会長が司会として登場しました。

当然、これだけのメンバーが登壇すれば話の行きつく先の一つとしてはこれです。そう「自分が死んだ時、コレクションはどうなる問題」です。これはそう遠くない未来に、どっと押し寄せてくる問題でしょうし、今現在でもある程度の古物商の方々が舌舐めずりをして待っているのかもしれません。古物商の知り合いがおりませんので、想像ですが。

一昔前であれば、貴重なコレクションや骨董の一部は評価さえあれば博物館や資料館などに寄贈されるケースがありました。大学の先生であれば教鞭をとった大学の図書館や学内史料室などに寄贈され、○○文庫として公開されることもあります。最近は保存場所の問題などもあり、右から左に、ということでもないようですが、前例があるというのは大きいでしょう。何より一抹の不安はあれど何となく道筋を見出すことができます。しかし、大衆文化はどうでしょうか。カストリ雑誌は?コミケで買った同人誌は?○○で買ったときにについてきた特典は?まだ無名だった頃の○○が掲載されている○○は?と考え出すときりがありませんね。

そこで重要になってくるのがアーカイブの問題です。ゲーム、漫画、アニメ、その他諸々を保存・管理・運用し、後世へと伝えていくことが重要になってきます。重要とはいえ、具体的に考えるとどうなるのか、では、大会テーマとして取り上げてみよう。という流れが2012年当初の本学会の運営委員会での我々の会話でした。

わたし、気になります

気になります。先日、お送りした学会誌6号がいくつか返送されてきてしまって、これは会員の皆さんが4月に入って、引っ越しや異動で住所が変わってしまったからですよね。新しい住所が気になります…どころではなく、事務局にご連絡ください(真面目に)。

http://www.contentshistory.org/admission/modification/

こちらよりお送りください。

さて、あっという間に間近に迫ってきましたが、6月16日(土)には今年度第1回例会「コンテンツとライブ」が開催されます。会員の皆様、非会員の皆様の積極的なご参加をお待ちしております。本学会で音楽を取り上げるケースは、それほど多くありませんが、経済や産業論という枠組みだけではなく、ライブ空間というものに焦点を当ててみることで、議論が出来るのではないか、と考えて企画を立ち上げました。当日は新鮮な議論が出来るに違いありません。

http://www.contentshistory.org/2012/05/20/1152/

今回は会場の都合により完全事前参加登録制になっております。当日受付はありません。よろしくお願いします。

氷菓 (角川文庫)

TAFに出るらしいです(→出ます)

2月は毎週、更新していたというのに3月に突入した瞬間に滞る…。ということがないようにしたいと思います。今月は東京国際アニメフェアに本学会主催のシンポジウムが開催されます。3月23日(金)のビジネスデーですが、ご興味のある方はぜひお越しください。公式サイトの情報が出たら、本学会サイトにても告知を行おうと思っておりましたが、未だ出ず、全ての情報を知っているのは会長のみという…。

ミクの日、ザクの日も過ぎ、震災から1年を迎えようとしております。TAFのシンポジウムでは震災復興とコンテンツとの関わりについて取り上げることになっています。昨年のコミケでもリーフレットを本学会ブースで配布するお手伝いをさせていただきました「タシロ計画」について「せんだいみやぎコンテンツプロジェクト」の方にご登壇いただく予定です。ということは、ご本人のつぶやきで把握しています…。

なお、蛇足的ながら、情報が全然来ないのは2年前のTAFにて本学会シンポジウムを組んだ際にも経験しておりますので、ご心配なさらずとも…それはそれで問題でしょうが。

(3月11日追記)
TAFの公式サイトに情報が出ました。皆様のご参加をお待ちしております。

https://www.tokyoanime.jp/office/public/symposium_detail_ja/121

日本デジタルゲーム学会2011年次大会参加記

2月25日(土)・26日(日)、立命館大学にて開催された日本デジタルゲーム学会2011年次大会に参加してきました。本学会の編集幹事をやっている私ですが、あちらの学会でも編集幹事をやっています。要は中間管理職ですね。スレイヤーズで言うとゼロス…ぐらい力があれば…。さて、DiGRA Japanですが、国内の大会としては2回目ですが、大変盛り上がりました。

(1)話題沸騰の「ゲーミフィケーション」

「ゲーミフィケーションとは何か」という特別セッションが組まれ、井上明人さん、藤本徹さん、深田浩嗣さんの3名が登壇し、それぞれの立場から「ゲーミフィケーションとは何か」にアプローチするものでした。しかし、藤本さんが「バナナはおやつに入るか論争」と同じと述べたように、三者の立場からある程度の志向性ある発言はされたものの、結局は「厳密な定義をしても仕方ない」ということを述べることになっておりました。
ざっくり述べてしまうと、ビジネスの視点から社会にゲーム的なものを導入する、という「ゲーミフィケーション」は、それこそ金儲けの道具として、そして社会に大きく影響を与えられるのではないか、といったような学術研究というよりはビジネスチャンスとして希求される向きがあることは否めません。したがって、井上さんが別の場所で強く主張していたようにバズワードとして消費されつくし、そのまま消えうせるという未来もまた想定され、それに対し研究者の皆さんは避けていこうと動いているのが現状でしょうか。もちろん、些細な定義の問題に陥り、学術的な議論すら先に進まないという無残な状況も、様々な分野でよく見られることであり、その点では研究に関わっている人たちが無駄な派閥争いを起こさない(というより皆、知り合いという研究者数の少なさ…)という態度は、非常に前向きな研究状況だといえます。

(2)普遍化する「シリアスゲーム」そして「ゲーミフィケーション」

しかし、シリアス・ゲームやゲーミフィケーションといったバズワードに成りうる概念を背景とした研究は、既に多くのセッションで見られるものでした。「ゲームフォーヘルス」や「ゲーミフィケーション」といったタイトルのセッションが複数組まれ、それぞれが興味深い事例発表をしているというのは、最早、「シリアスゲーム」の概念が多くの研究現場や社会的な状況で散見されることの証左でしょう。ここからビジネスと学術研究との乖離を大きくしてしまうのか、それとも何か新しい展開があるのかは、今後によるものですが。

(3)若手の発表が多い

何はともあれ全般的に若手の人が多い。当然である。として学問の広がりを阻害するようなことは述べたくはないですが、これは仕方ないことかもしれませんね。そして知り合いだからかもしれませんが、専修大学の藤原正仁さんの研究室の学部生がどっと発表をしたのは非常に興味深いものでした。もちろん卒論なので、色々と足りない点やもっと突っ込んで調査して欲しいと思う点は多々ありましたが、印象論や恣意的な評論に陥っているのではなく、それぞれがきちんと調査し、データを開示した上で述べているという、そこらのダメ院生より、ずっとハイレベルの発表をしていました。藤原さんの苦労が垣間見られまして…。ただ、若手がチャレンジするというのは非常に良いと思いますので、次年度以降も大きく期待したいと思います。

(4)さて、人文学系は…。

どうやら毎年、講演は歴史的なものを喋ってもらうとなったのか、今年はゲーム研究をやっていると誰もが手に取るであろう『それはポンからはじまった』の著者である赤木真澄さんによる「アーケードはどのようにして生まれたのか」が行われました。エジソンから語るという素晴らしいもので、惜しむべきなのは時間が足りず日本の事例については端折られたことです。講演自体は大変満足でしたが、私個人が歴史学出身なので、個別発表で歴史学や文学といった分野の発表が聞きたかったですね。来年は誰か私とセッションを組みませんか?

(5)最後に

全部のセッションを回ることができたわけではないので、聞いていないものは紹介できませんが、twitter等のネット上の反応を見ますと概ね好評のようです。あと、4か月に1回のペースで髪を切っていたのが恋人さんの意向により2カ月に1回切るようになった三宅陽一郎さんの若手奨励賞受賞を祝って、更新を終えたいと思います。

それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ち

シリアスゲーム―教育・社会に役立つデジタルゲーム

幸せな未来は「ゲーム」が創る

ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足

ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える” style=”border: none;” /></a></p>
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明治大学に行ってきました。

番外編な感じで更新が続きます。2月に入って珍しく更新が連続してありますね。どこで途切れるのか…そして、皆さんは「会長のコンテンツ日記」の存在を覚えているのか。

さておき、先日の日曜日に明治大学藤本由香里ゼミ卒論発表会を聞きに行ってまいりました。昨年、本学会大会に藤本先生が来られた際、話だけは聞いておりましたので、興味を持って参加させていただきました。と書きつつ、全日程・全報告を聞けたわけではないので、非常に申し訳ない気持ちです。自分自身の卒論を振り返りますと皆さん、本当に頑張っておられます。私自身が本学会設立の話を会長に持っていった際には、研究をしても発表の場がない、という切実な思いがあったのですが、あれから4年を経て、学部生の発表が聞けるというのは確実に学問の裾野が広がっていると実感できます。そして、そのうちコンテンツ文化史学会の大会発表に申込をしてくれると非常に嬉しいです。

と勧誘で終わるのは、定石すぎるので、発表の感想を少し述べますと、内容的なところより、出典や参考文献への言及が発表内になかった方がおられたのが気になりました。一応、研究者のはしくれなので「多分、あの人のあの論文を読んで喋っているな」と漠然とは分かるのですが、明確にしていただくと、聞いているこちらも楽だったかなと思います。とはいえ、研究者顔負けのプレゼンばかりでしたので、しっかり藤本先生が指導されているのだと推察いたします。

学会誌の投稿

皆さん、ガンダムAGEを見てますか!(挨拶)

さて、最近、学会への問い合わせとして、「学会誌の投稿期限はいつですか?」というのを、よくいただきます。これは盲点でした。実は会員向けのニューズレターでは定期的に告知をしていたのですが(今年はまだ発行していません…これも私の責務…)、サイトでの告知は行っておりませんでした。遠い記憶を掘り起こすと、学会のサイトを立ち上げる際、中の文章を私が一つ一つ書いていたのですが、投稿に関して目安となる期日を明記することについても議論になりました。主に会長と私の間で。しかし、会長は日本史学専攻、私もそう。一部の方には、お分かりかもしれませんが、投稿期日を明記する学会のほうが珍しい学問分野出身です。したがって、「まあ、投稿したいときに投稿するのではないか」とお気楽な感じで書かなかったのですが、問い合わせが思いのほか多い。そこで「投稿規定」のページに追記いたしました。

  • 毎年5月末締め切り→10月末発行予定の学会誌へ掲載
  • 毎年11月末締め切り→翌年4月末発行予定の学会誌へ掲載

となっておりますように、次は5月末です。なお、査読委員の進捗や査読報告の内容、執筆者の修正、などによって必ずしも掲載されるというものではありません。会員の皆様の投稿を心よりお待ちしております。ガンダムAGEを見ているかどうかは、あまり問題ではありません。

機動戦士ガンダムAGE  (1)スタンド・アップ (角川スニーカー文庫)

HG 1/144 AGE-1T ガンダムAGE-1 タイタス (機動戦士ガンダムAGE)

久しぶりのブログ更新です。

2月になってしまいました。今年こそはちゃんと学会のブログを更新するぞ、と心の片隅に誓いをひっそりと置いていたら、そのまま埋蔵されてしまいました。プロ野球はストーブリーグが終わって、キャンプインしている状況だというのに。サイトを見ていると学会が動いていないように見えますが、潜航している感じで少しずつ動いております。

まずは編集担当の者としてお詫びを、この場をお借りして述べさせていただきますと学会誌6号の発行が遅れております。会員の皆様には大変申し訳ありません。ようやく編集作業に取りかかりまして、一部の執筆者の方々に校正を送っております。年度内には会員の皆様のお手元に届けられるよう善処いたします。

また、その他、2012年の例会や大会開催に向けて、少しずつ動き出しております。担当の委員がこちらは頑張っているはずです…よね。先日、1月に早速、委員会が開催されまして、夜まで色々と語り合い、終了後、アキバのサイゼリアで肉を食って帰りました。はい。肉を食べるのが目的ではなく、吉田会長の生まれたばかりの娘の写真を見るのが目的でもなく、ちゃんと学会の長期・短期の目標・活動を検討しております。

例会・大会とお疲れさまでした。

11月12日(土)に例会「コンテンツとファッション-装いの文化史をめぐって-」、12月3日・4日と2011年大会「オタク・ファン・マニア」が盛況のまま終了いたしました。盛況すぎて終了後に弛緩状態に入り、そのまま更新しないままでしたが、シンポジウム登壇者の皆様、発表者の皆様、スタッフの皆様、参加者の皆様など多数の皆様に支えられて、怒涛の秋を乗り越えることができました。まことにありがとうございます。なお、画像は大会初日の午後のスタート直後の様子です。このあとシンポジウムがはじまり、続々と参加者が来られました。

大会に関する初日および2日目のtwitterでのつぶやきは以下でまとめられております。

http://togetter.com/li/223285
http://togetter.com/li/223043

また、初日のシンポジウムに関しては下記のページで見られます(プレミアム会員になる必要があります)。

http://live.nicovideo.jp/gate/lv72851558

その初日のシンポジウムに関しては、以下にニュースとして取り上げられました。

http://news.nicovideo.jp/watch/nw158725

しかし、今年はこれで終わりではありません。年末のコミケに参加いたします。申し訳ありませんが、6号が間に合わず、頒布物は既刊とともに先日の大会予稿集になります。詳細はバックナンバーをご覧ください。既刊は1冊2000円、予稿集は1冊500円の予定です。どうぞ、よろしくお願いします。

明日は大会です!

皆様

また時間のあいた更新となりましたが、明日はついに大会当日となります。ぜひ、足をお運びください…と書きたいのですが、初日に関しては事前参加登録のみで満席となりました。当日受付もしておりません。ここ重要。当日受付もしておりません。残念ながら来られない方は、シンポジウムに関してはニコニコ動画で配信がございますので、ぜひとも、ご覧ください。こちらです。まあ、タイムシフト予約をして、『映画 けいおん!』を見に行かれても良いのですが。ちなみに僕は律っちゃんが好きなので、4日に来られて映画ネタバレを耳打ちしないように。

そう、3日は既に参加ができませんが、4日は当日参加も可能です。今から参加登録をされても構いません。4日はぜひとも、ご参加ください!

Singing!(初回限定盤)

映画「けいおん!」オリジナルサウンドトラックK-ON! MOVIE ORIGINAL SOUND TRACK

例会に向けて:その2 脱オタ

 その2です。化物語を流しながら書いています。ガハラさんになら蹴られてもいいレベルです。さて、ここ数日、ようやく会長がTwitterで12日(土)に開催される例会の宣伝をはじめています。例えばこのような感じです。

【拡散希望】合言葉は「オタクmeetsファッション」☆ 司会のオレは一体どんな服装で参加すべきか、マジで悩むぜ! コンテンツ文化史学会2011年第2回例会「コンテンツとファッション-装いの文化史をめぐって-」のお知らせ #jachs http://bit.ly/oOpX1v
http://twitter.com/#!/yoshidamasataka/status/132665728259198976

 分かりますか?このオタクの微妙な心情。その昔、東大時代の吉田会長のデスクに、私はよく遊びに行っていました。今は亡き、オフィスのような某部屋です。今でも、あのビルの2階にある店でカレーをたまに食べます。先日はカレー素麺を食べましたよ。話がそれましたが、その際、適当に本棚に置いてある研究書や漫画をぺらぺらめくって読んでおりまして、その中にこのような1冊がありました。その名も『脱オタクファッションガイド』。そう。オタクとファッションというのは延長線上にも同じ領域にもあるのではなく、オタクから脱しないとたどり着けないという認識が持たれるのです。『げんしけん』で服屋に入るだけでドキドキしてしまう斑目の気持ちも同じです!あの時の『アフタヌーン』を読んで、大きく頷いた人々は友達です。私たちの学会でファッションを取り上げることの違和感は、あの時の斑目に濃縮されていると言っても良いぐらいです。

 しかし、冷静になりましょう。ファッション研究は素人の私ですが、少しは勉強をしようと遠藤英樹さんの『現代文化論』を手に取りました。そこに書かれていることを要約すると「ファッションは記号である」、そして「「大きな物語」の崩壊以後、ファッションは多様化している」の2点でしょうか。つまり、オタクである会長が、今度の例会でどのような格好をしてこようとも、そこに記号的な意味を見出せば良いのです。ネルシャツをズボンの中にピッチリ入れてきたら、それはそれで見守ってあげましょう。それもファッションです。会長のために付記しておくとネルシャツを装備したり、ズボンにシャツを入れた会長を見たことはありません。個人的な要望を書くと、紋付き袴ぐらいで来てください。会長。

 さて、本学会は「コンテンツ」を掲げつつも、「文化史」も冠している学会です。時や場所が変わればファッションの意味づけも大きく変わる。そのことは自明でありながらも、精査していく必要性は大きく存在します。また、同時に前述のようにポストモダンにおいてファッションの多様性を見出すことが出来るのであれば、近代化の過程で見出せるものは何か。そのようなことについて、聞いている我々に考える手掛かりを与えてくれると思われるのが一人目の発表者である青木淳子さんの「近代皇族ファッションのイメージ―軍服とドレス」でしょう。

 というところで、終わります。続きはその3です。まだ、何も考えていません。

脱オタクファッションガイド

現代文化論: 社会理論で読み解くポップカルチャー

げんしけん(1) (アフタヌーンKC (1144))

化物語 ひたぎクラブ 【通常版】 [DVD]