コミックマーケットシンポジウム開催のお知らせ

コミックマーケット準備会様から、イベント情報をお知らせいただきました。
ご興味のある方は、ご参加ください。

コミックマーケットシンポジウム
「ユーザーが産み出す超多様性市場としてのコミックマーケットとその今後」
http://www.comiket.co.jp/info-a/C76/C76symposium/C76symposium.html

 本シンポジウムでは、コミックマーケットが、多様な創作活動が一堂に会する「場」としての市場的機能が、コンテンツにおける創造・流通と消費の各プロセスにどう関わっているか、また社会にどのような影響を与え、関わっているかを、社会システム論とネットワーク経済という学術的な視点から明らかにしようとするものです。

<概要>
■日時: 8/14(金) 13:00-14:00
■場所: 国際会議場7F 
■主催: コミックマーケット準備会
■登壇者:
 パネリスト
   出口 弘 (東京工業大学教授)
   田中 秀幸(東京大学准教授)
   筆谷 芳行(コミックマーケット準備会共同代表)
 モデレータ
   中村 仁 (東京工業大学特任講師・東京大学特任講師)
■参加費: 無料

■参加事前登録
 事前登録はこちら。https://secreg.jp/sr/comiket.co.jp/member
 当日受付もございますが、事前登録をお勧めします。

会長のコンテンツ日記 その11

芸工大で開催してきました
自主講義「コンテンツ作品分析」
もいよいよ最終回になりました。

最後の作品は、もちろん!

ビューティフルドリーマー

これしかないですよね☆
改めてみるとほんと面白い。

ちょうどリアル中二でこのアニメを劇場に
観に行ったというのは、
ある意味、得難い体験だったなあ、
と思い返す今日このごろです。

♪ほうり投げたブ~メラン~

しかし後期は忙しさが倍増するので
上映会はちょっと厳しいなあ…

ってことで、9月の初めに
大上映会を企画中です!
経過などはまたこちらで
ご報告させていただきますね~

論文を読む:その2

皆様。
続きました。たまには論文を読んでいますコーナー2回目。

  • 神山秀昭「言葉の解放-『魔術士オーフェンはぐれ旅』の作品研究から-」(『学芸国語教育研究』14号、1996年)

「魔術士オーフェン」と言えば、秋田禎信の大ヒットライトノベルなわけですが、何を思ったか昨年、作者のホームページ『モツ鍋の悲願』の雑記内にて「あいつがそいつでこいつがそれで」と題して後日談が書かれました。懐かしさに駆られて読んでいたわけですが、登場人物の全員が「あいつ」や「こいつ」とかで語られていくので、途中で混乱します。これは読み直そう!と思ったのが間違いというか・・・はぐれ旅全20巻、無謀編全13巻を通勤途中の電車の中でとか寝る前とか、ただひたすら読み耽っていました。そのため何かあるたびに私の脳内では「我は放つ光の白刃」とかコールされていましたが、もちろん口には出していませんよ。脳内ですよ。

さらには『エンジェル・ハウリング』とか『愛と哀しみのエスパーマン』、『シャンク!!ザ・レイトストーリー』(ロードストーリーも)などと読み進めてしまいましたが、それは別の話。一先ずオーフェンについて誰か書いていないかなと調べてみたら、世の中広いもので論文がありました。

内容としては児童文学研究において小川未明作品に対する評価が、「死」を取り扱っていることによるネガティブなものから、そのようなタブーが崩壊している現状へと変化しているそうです。そのような中でも子供向けの作品で「殺す」や「死」といった言葉が連続して使用されるのはなかったが、数多く使われる作品として登場してきたのが「魔術士オーフェン」シリーズであると定義付けています。そして特にオーフェン作品のなかで、ボルカンがオーフェンへと放つ脅し文句を一覧化し、彼の言動はいわゆる子供の「ごっこ遊び」の反映であり、字面の暴力性からは乖離し「実行性を持たない形だけの決まり文句」であるとしています。そして作品内に暴力的な言葉が多用されることで批判が出てくるだろうが、子供にしてみれば「氾濫する情報の一つにすぎない」と定義付けています。

感想としては、児童文学研究はよく分からないのですが、児童文学=ライトノベル(というかオーフェン・シリーズ)という図式が果たして成り立つのかどうか。また暴力的な言葉が多用される作品の初発が果たしてオーフェンなのか、というか「氾濫する情報の一つ」としている以上はそのほかのメディア(アニメ・映画・マンガなど)との比較の上、オーフェン作品を歴史的に意義付ける必要があるかと思います。が、もう12年前の論文なのですね。当時は今日的な意義でのコンテンツという言葉もなかったわけですし、何より論文内で「ライトノベル」という言葉が全く使われておりません。その当時の研究状況はこうして把握できますが、学界における空気までは何となくしか分かりません。既存の学問枠組みにあるものを議論として繋げていかなければならなかったのかもしれません。とはいえ、この間に研究も色々と進展していったようにみえて、実は根本の部分ではまだ変わっていないのかもしれませんね。しかし変わったといえば研究状況より、オーフェンですよ。何より終わったと思ったオーフェンが復活しようとは!

これで終わりと思うなよ!―魔術士オーフェン・無謀編〈13〉 (富士見ファンタジア文庫)

会長のコンテンツ日記 その10

山形市内もいよいよ盆地の本領を発揮し、
暑い暑い季節になってまいりました。

芸工大の自主講義「コンテンツ作品分析」も
いよいよゴールが見えてきました。

ガンドレス
第8回にはついに問題作の『ガンドレス』を取り上げました。
ともかく学生には制作上のスケジューリングと
リスクヘッジの重要性を学んでほしいとの願いで
あえて未完成版(劇場上映版)を観ました。
ある意味、これまでで最も切ない上映会となりました…

ハマヌーン
そして第9回は『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』です!
これも海外文化と日本製コンテンツの融合の
面白さと難しさ、さらには権利ビジネスの
問題点など、内容以外の部分でも
説明するところが満載ですが、それよりも
若い学生にはこの破天荒さを見直して
もらいたい!という気持ちもありました。
参加者が少なかったので、調子にのって
タイ版のモッデーン(仮面ライダー)も
見せてしまったのはちょっと反省☆

次回は最終回ということで、
もちろんあれを鑑賞しますよ!!

論文を読む:その1

  • 清水潤「「紙芝居」化する世界-「山海評判記」論-」(泉鏡花研究会編『論集 昭和期の泉鏡花』おうふう、2002年)

色々あって(というかコンテンツ文化史学会の紙芝居分科会、あれ?呼称は紙芝居部会?)最近、紙芝居に関する論文を読む機会が増えているのですが、この論文もそれによるものです。たまには紙芝居部会も活動しているよ!主に脳内で!というところを見せておきます。別に泉鏡花好きというわけではありません。それにしても図書館でこの論集を閲覧したのですが、同じ本棚に大量の鏡花関係の論文集が置いてあって驚きました。文学研究とはそういうものなのですね・・・。

さておき論文の内容は、前半と後半できっちり分けられていて、前半は泉鏡花の作品「山海評判記」に出てくる紙芝居師の妥当性検討し、後半はテクスト分析を行っています。前半では、作品の挿絵を担当した小山雪岱の後世の記録を参考にしながら、昭和4年ごろの小山にとっては紙芝居師がどのような存在か把握できていなかったことを指摘、また作品内で描かれている紙芝居師は東京市社会局『紙芝居に関する調査』(1935年)や今井よね編『紙芝居の実際』(1934年)と比較しても的外れではないことが把握されています。後半では紙芝居が作中で非常に重要な位置を占めていることを主張。特に紙芝居に関する登場人物らが次第に希薄になっていくのは、作中の現実の世界と紙芝居の世界が等価になっているからであるとしています。

という感じ。これまでの鏡花研究では、それほど重要視されてこなかった(のでしょう)紙芝居に焦点を当てたという意味では非常に面白いのですが、結局のところ実態把握ではないのでよく分からない。前半部分の最後で「結局、フィクションだし」的なオチを持ってくるのは、仕方がないのでしょう。あとは地域性か。小山が紙芝居師をよく把握出来ていなかったというのは、黄金バット登場以前なので仕方ないのかもしれませんが、しかし、泉鏡花は当然知りえたからこそ作品の題材にしたわけで、そこは地域差なのか単なる個人差なのか。

さて「その1」というタイトルをつけたので、「その2」をやらないといけないのでしょうか。

論集 昭和期の泉鏡花

ドラクエ9

すっかりご無沙汰となってしまいました。編集担当の玉井です。

例会が終わると気が抜けたようになっていた、というわけでもなく日常に追いやられていました。その例会ですが、発表者である土居浩先生のブログにてもこのように取り上げていただきました。また、iNSIDEさんにても、このような記事を書いていただきました。ありがとうございます。今更ながら言及して申し訳ありません。

さて、本日はドラクエ9の発売日ですが、見事にamazonが発売日に届けてくれたので、せっかくの土曜日を潰して数時間、プレイをしてみました。現在レベル12です。城にこれから向かうところ。この数時間の経験のみで語れば非常に丁寧に作られているという印象を受けます。

しかし、気になるのは、ドラクエ9に関するテレビ報道を見ていると、お客さんが渋谷のTSUTAYAに購入のために並んでいるところを目にする機会が多いように思えます。もちろん全てをチェックしているわけではありませんが、秋葉原は取り上げられていないのでしょうか。渋谷と秋葉原という2つの場所から想起されるイメージと様々な戦略が影響し合っているのかもしれません。

ドラゴンクエストIX 星空の守り人

発表者による第1回例会参加記

200906281028000

 

皆様。
編集担当の玉井です。といいますか、第1回例会で発表させていただきました玉井です。

日曜日でハガレンが放送されている時間だというのに足をお運びいただいた皆様、お話いただきました吉田正高会長、土居浩先生、色々と動いていただきました委員の皆様、本当にありがとうございました。おかげさまでこちらの予想をはるかにこえる60名という参加人数を記録いたしまして、例会としては非常に盛会なものになりました。こちらに当日の様子などが掲載されております。

既にネットを見ておりますと
y_miyakeさん
http://blogai.igda.jp/article/30158255.html
横えびさん
http://105.teacup.com/puyo/bbs/2985
伊奈正人先生
http://d.hatena.ne.jp/inainaba/20090630
などいくつかのレポートがあがっており、委員の皆でいそいそと読ませていただいております。そのほかのかたも書きましたよ!とご連絡いただきましたら(本エントリにトラックバックでも可)、にこにこしながら皆で読みにまいります。

というわけで発表者兼裏方でした私も当日を思い出しながら何か書いてみたいと思います。とはいえ当日は発表のレジュメ(50部しか用意していなかった!→あとで委員がコピー)+チラシや誘導用貼紙+ビデオカメラ用三脚+ノートPCとカバンに全部詰め込んで電車に乗ったのですが、あまりにも重過ぎて豊洲駅から会場に到着する前にへばりました・・・。行く前は「東のエデン」や「三月のライオン」の舞台だよな、ちょっと楽しめるかなと思っていましたが、それどころではありません。こちとらだてに運動しないオタク生活を続けてはいないのです。

しかし、委員の皆様がテキパキと動いてくださったので、会場に到着してからは物をカバンから出して「あー」とか思っているうちに設営が終わってしまい、気がついたら開場直前と相成りました。続々と席も埋まって、いよいよ会長挨拶です。細部は省きますけど、この会長挨拶は撮影しておりますので、そのうちYouTubeにあげるつもりです。だから会長はスーツにネクタイだったのです。

「ここに学会のurlが表示されると思います」

とか余計な発言は控えてください。会長!

続きまして土居さんのご報告。昨年の人文地理学会の大会にて私が江戸時代の浅間山の表象イメージに関する発表をし、土居さんがライトノベルに関する発表をなさったのですが、私は自分の発表そっちのけで土居さんのご報告をそれはもう楽しみにし、事前にメールを送り、当日は粘着のように食いついて質問しておりました。そこからの繋がりです。例会での発表はタイムリーに涼宮ハルヒの「エンドレスエイト」を取り上げていただきました。このように瞬発力のある報告には、さすがっ!とレジュメを見て思いました。そのような姿勢は見習わねば。しかし、ハルヒは当日、土居さんも仰っていたように、西宮北口駅前が再開発されます。
http://d.hatena.ne.jp/giolum/20090207
リアル世界を含めての動向も気になるところですが、「遅れてきたら罰金よ、罰金。団員にあるまじき行為だわ」的な発言をハルヒはどこですれば・・・とファンは考えるわけで・・・。

続いて私が発表。これは省きましょう。「かみちゅ!」の舞台である尾道と「朝霧の巫女」の舞台である三次を歴史学的手法で見直し、「場所」と「物語」の関係をあぶりだそうとしてみました。タイトルは事前に出していたものから変更して「「聖地」成立に関する一考察―「物語」と「場所」の連関性―」にしました。もう少し喋りが達者なら良いのですが・・・。

その後は討論です。多くのご質問をいただき本当にありがとうございました。意図せず「異界」がキーワードになって話が展開していきましたが、ライトノベルの異界をどう捉えるのかというのは非常に難しいですね。土居さんも発言されていたように我々にとって異界であっても、登場人物にとっては異界ではない場合も多々あります。『レンタル・マギカ』は異界かどうか。『日帰りクエスト』や『十二国記』は明確に異界が線引きされているが『涼宮ハルヒ』シリーズはどうか。などと皆さんの意見を聞きながら私自身つらつら考えていました。「聖地巡礼」に関しては、皆さんそれぞれにとっての「聖地」があるがゆえに、どう捉えるのかという難しさがあります。「オンラインゲームにおける聖地」というご質問も非常に興味深く、質問されたときはぱっと『Mのフォークロア』や『ソードアート・オンライン』が頭に思い浮かびましたが、受け答えは無難になってしまいました。会場に何名か来られていたゲーム学の方に答えていただきたかった点です。

そんな感じで、初めての例会ということもあり至らない点ばかりだったかと思いますが、それは次回以降に生かしていきたいと考えております。第2回例会は秋に「ライトノベルと文学」(仮)というタイトルで開催いたします。現在、発表者および日程を調整中ですので、決まり次第告知いたします。皆様、本当にありがとうございました。

コンテンツ文化史学会第1回例会、盛況のうちに終了

初めての研究報告会となる第1回例会「コンテンツと場所」が、
6月28日(日)に芝浦工業大学豊洲キャンパスで行われ、
60名弱の方にご参加いただき、盛況のうちに会を終えることができました。

コンテンツ文化史学会第1回例会の様子

当日はコンテンツ文化史学会会長 吉田正高(東北芸術工科大学)による学会紹介をはじめ、
土居浩氏(ものつくり大学/「ライトノベル[の/と]場所研究」)、
本学会委員玉井建也(東京大学/「異界・リアリティ・聖地」)各氏による報告が行われ、
多くの方が熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

また、場所を移しての交流会の席にも、多くの方が参加され、
積極的にお話をされる姿が多く見受けられました。

参加してくださった皆様、本当にありがとうございました!

第2回例会につきましては、準備が整い次第、改めて告知を行う予定です。
また、第2回以降の例会におきまして発表をお考えの方は、
お問い合わせフォームより学会事務局へお知らせください。
http://www.contentshistory.org/contactus/

次回も引き続き、皆様のご参加をお待ち申し上げます。