論文を読む:「僕と契約して魔法少女になってよ!」

( ◕ ‿‿ ◕ ) コンテンツ文化史学会に登録して会員になってよ!

と書くと会員が減りそうですが、巷の一部で「血だまりスケッチ」と言われて話題の「魔法少女まどか★マギカ」を私も見ております。3話の先輩のパックリコーンが・・・。

さておき、現在、第6話まで放送されておりますが、少し気になるのはこの物語の女の子たちが変身するのは「魔法少女」。で、彼女らが闘う相手が「魔女」。赤髪の子曰く「人間<魔女の使い魔<魔女<魔法少女」といった感じの力の図式化が可能なようですが、そこではたと気付くわけです。「あれ、昔は「魔女っ子」とか言っていなかった?」と。僕の中で「魔女っ子」=「魔法少女」であったわけで、妙齢の魔法使いの女性が魔女で、その少女版が魔女っ子という認識でした。しかし、このアニメでは魔女と魔法少女は完全に区別化されています。誰かこの概念について研究していないだろうかと調べてみたところ、世の中広いものでちゃんと論文がありました。

大橋崇行「〈魔法少女〉の夢–『魔法の天使 クリィミーマミ』と〈キャラ〉言説の問題点」(『昭和文学研究』60号、2010年)

この論文では「クリィミーマミ」を素材として当該期のアニメ雑誌の投稿やインタビューなどを分析しています。そこでは「ミンキーモモ」以前は主人公の行動様式が魔法を使うことで問題を解決していくのに対し、「マミ」は問題解決を魔法に頼らず彼女自身の努力などに依ったとし、前者を「魔女っ子」、後者を「魔法少女」と区別化しています。しかし、当時の視聴者は前者のある種ワンパターン化された「魔女っ子」イメージ(物語形式)を無意識的に当てはめたゆえに、「魔法少女」という別枠組みで語るべき「マミ」を「魔女っ子」の枠組みで語ってしまい、しかもそれは現代にまでそのまま至っている。というのが大まかな要約でしょうか。

文章中でも書かれていますが、前提として「サリー」などはやはり生まれながらにして魔法を使えるという点に対し、「マミ」は魔法能力は他者から与えられたものであり、それゆえに日常生活を描くといった作品内容の中で違った行動様式がみられることになっているのでしょう。と考えて、「あれ?「奥さまは魔法少女」は?」とか色々と思いついてしまい、結局のところは現在までの歴史性はより精査する必要がありますね。という感想になるのでした。「まどか」まで考えるのは面倒です。そのうち頭の良い人がどこかで論文を書いてくれるに違いありません。

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学会誌のDL販売がはじまりました。

昨年末にCOMIC ZINさんのほうで学会誌の委託販売がはじまりましたが(詳細はこちら)、PDFデータのDL販売をDLsiteさんにお願いすることになりました。

『コンテンツ文化史研究』1号
http://home.dlsite.com/work/=/product_id/RJ072712.html

現在、創刊号のみの取り扱いですが、随時、追加されていく予定です。なお、創刊号に関しては紙媒体としては完売しておりますので、こちらでのみ購入することができます。今までお手に取ることが出来なかった方はぜひお求めください。

(1月24日追記)
『コンテンツ文化史研究』2号のDL販売もスタートしました。
http://home.dlsite.com/work/=/product_id/RJ072713.html

(1月25日追記)
『コンテンツ文化史研究』3号のDL販売もスタートしました。
http://home.dlsite.com/work/=/product_id/RJ072715.html

SIG-Indie : 同人・インディーゲーム部会 第8回研究会「ジャパニーズ・ゲーム・エクスペリエンスー日本のゲーム文法が作るゲーム体験の未来ー」

本学会が後援をしております下記の研究会のご案内をいたします。お時間ある方はぜひともご参加ください。なおチケット購入方法など研究会に関するお問い合わせは本学会ではなく、下記のURLをご覧ください。
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UDXオープンカレッジ(ゲームクリエイターズ・カレッジ)IGDA日本 同人・インディーゲーム部会 第8回研究会(SIG-Indie8)
「ジャパニーズ・ゲーム・エクスペリエンスー 日本のゲーム文法が作るゲーム体験の未来 ー」

IGDA日本(国際ゲーム開発者協会日本) 同人・インディーゲーム部会(SIG-Indie)は、第8回研究会を2011年1月22日(土)に開催いたします。
今回のテーマは、「ジャパニーズ・ゲーム・エクスペリエンス」です。
日本のゲームにはノベルゲームに見られるような「泣き」、東方Projectに見られるような弾幕の「美しさ」に代表されるような、同人・インディゲームが牽引する、ユーザーが感じる「日本的なゲーム体験(ジャパニーズ・ゲーム・エクスペリエンス)」が存在します。そして、それらのものを表現するために、独特な方法論が発展してきてもいます。一方で、海外の映画の中に没入するような「体験」を表現することを目指すFPS系ゲームとは、考え方が鋭く対立している面があります。そういった「日本的なゲーム体験」を深く考えていくことで、同人・インディゲームやそれの周辺に存在するゲームの未来像を考えていきます。
今回の目玉は、同人開発者3サークルの方に、冬コミなどの新作のポストモーテム(事後評価)を行って頂き、作品開発の経緯、開発に関する事後評価、今後の計画などをお話しいただきます。
また、映画、絵画、マンガなど幅広い分野に精通されている表象文化論の石岡良治氏に、「東方Project」の持つ独特なおもしろさについて講演頂きます。それ以外にも、商業開発者やゲーム研究者、弁護士、ジャーナリストなど、多様な立場の方々に、現在の問題意識や現状認識、研究成果などを、お話しいただきます。こうした発表とフラットな議論を通して、日本と世界のゲーム開発・研究に関する情報の共有と、新たなネットワークの構築を支援することを目標としています。また、懇親会は、IGDA日本の新年会と共催となります。ご関心のある方々の参加をお待ちしております。
■日時 :2011年1月22日(土) 13:00-18:00(受付時間12:30-)
懇親会 18 : 30-
■場所 :UDXマルチスペース(東京フードシアター5+1)
■主催 :国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本) http://www.igda.jp/
■共催 :UDXオープンカレッジ http://www.icic.jp/workshop/
■後援:NTT都市開発株式会社/鹿島建設株式会社/ダイビル株式会社/株式会社クロスフィールドマネジメント/株式会社新産業文化創出研究所/コンテンツ文化史学会
■定員 :120名 (ゲームに関心のある方であれば、どなたでも参加できます)
■参加費:研究会のみ 1,500円(入場券チケットを購入して下さい)
研究会および懇親会の両方に参加 5,000円
(全席自由チケットを購入して下さい)
■受付終了日:2011/1/20(木)18:00
■申し込み方法:
※下のページをご覧下さい。
◎プログラム
プロローグ <ゲームの密度の濃い開発体験の価値>
山根信二 (IGDA日本アカデミックSIG, 青山学院大学総合研究所)
「Global Game Jam 2011 プレビュー: 1月末に開催される世界同時多発ゲーム開発イベントの最新動向から参加方法まで」
第1部 <美学的に捉える同人ゲーム>
石岡良治 (大妻女子大学ほか)
「東方Projectにみる弾幕演出とゲームプレイ」
第2部 <冬コミタイトル メイキング>
マサシロウ (ぜろじげん)
「同人ノベルゲームの多言語化対応の開発と海外頒布を振り返る」

club (Team Eye Mask) 佐呂間天 (Catfish)
「短編ノベルゲーム制作の諸アイディアと改善案」

蒼井亜璃夏・さくっち (無限逃避級数)
「スキルアップとしての同人サークル活動」
第3部 <商業開発が直面するジレンマ>
川村泰久 (フリーランス<仕事募集中>)
「玩具ゲームの先へ・日本ゲームの呪いを解く」

鴫原盛之 (フリーライター)
「急速に規模が縮小するアーケードゲーム市場に未来はあるのか? -アーケードゲームの問題点と将来を考える-」

板倉陽一郎 (弁護士)
「いわゆるマジコンを巡る法的議論の現状」

第4部 ディスカッション
「日本のゲーム体験はどこに向かうのか? 未来/コミケ/海外」
司会:七邊信重(SIG-Indie世話人、東京工業大学)

本年もよろしくお願いします。

年があけて1週間が経過しておりますが、一応、このタイトルで更新いたします。年末のコミケで足をお運びいただきました皆さまにはこの場を借りて御礼申し上げます。本年も皆さまのご助力を得ながら、学会活動を行いたいと存じます。昨年と同様に春ごろには学会誌5号を発行し、今年の第1回例会を開催したいと思います。そして夏から秋にかけて、会誌6号と第2回例会を、そして11月前後には大会を開催したいと考えております。大会のCFPなどは4月ごろから順次、情報を公開していく予定です。そう、全ては予定です。ですが、昨年と同様に地道に活動を続けていく所存です。会員の皆さまの積極的な参加をお待ちしております。

さていきなりですが、本学会会長の吉田正高がNHK-BSで放送されております「MAG・ネット」に出演いたします。

http://www.nhk.or.jp/magnet/

「変貌するコミケ」ということで、虎の穴社長の吉田博高さん、声優の門脇舞以さんとの鼎談になる予定です(棒読み)。放送は1月23日(日)の23:50からです。ぜひご覧ください(情報を全て棒読みの玉井でした)。

現在、COMIC ZINさんにて学会誌が販売中!

本日(12月7日)、『コンテンツ文化史研究』を委託販売させていただいているCOMIC ZIN新宿店さんにお邪魔いたしました。玉井個人の買い物ついでではあったのですが、まさかのレジ横という素晴らしいポジションに置かれておりました。ついでにまわりを「けいおん!!」に囲まれていたのもポイントです。

COMIC ZINさんで会誌4号をお買いいただきますと、ただいま今井哲也さんがお描きになりました特典ペーパーがついてまいります。4号表紙絵をモチーフにしつつ、みよしとあのキャラを見ることができます!ぜひ!

また各号ともに下記のように通信販売でもお買い求めいただくことができます。今までお手に取ることが出来なかった方もこの機会にぜひお求めください。

コンテンツ文化史研究4号
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=7122

コンテンツ文化史研究3号
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=7123

コンテンツ文化史研究2号
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=7124

なお各号の目次はこちらのページにてご確認いただけます。と宣伝ばかりでブログは終わります。

コミックマーケット79参加のお知らせ

下記の日程でコミックマーケット79に参加いたします。お近くを通りかかった際にはお立ち寄りください。

【日  時】 2010年12月31日(金)
【場  所】 東京有明ビッグサイト
【サークル名】 コンテンツ文化史学会
【配  置】 東P-57b
【頒 布 物】 『コンテンツ文化史研究』2号・3号・4号、『コンテンツ文化史学会2010年大会予稿集』
【価  格】 『コンテンツ文化史研究』各2000円、『予稿集』1000円
【搬 入 数】 各20~30部ほど

なお、学会誌の本誌とともに本学会会長も執筆し、本学会委員こさささこが表紙イラストを手掛けた『アニメ産業レポート2010』(3000円)も販売いたします(→『アニメ産業レポート2010』ですが、増田弘道さんのページにて頒布中止が伝えられております)。また下記にありますように29日にも「吉田研究室」にてお手に取ることが可能です。

【日  時】 2010年12月29日(水)
【場  所】 東京有明ビッグサイト
【サークル名】 吉田研究室
【配  置】 東U-19b
【頒 布 物】 『コンテンツ文化史研究』2号・3号・4号。その他、研究室関係の頒布物。

鶴岡サムライシルク「Kibiso」映像コンテンツ完成!!

大会へのご参加、ありがとうございました!
会長の吉田です。

さて、私も参加しております山形県鶴岡市を舞台に、
地域振興を目指す「鶴岡kibisoブランド認知向上プロジェクト」
が制作した映像コンテンツが完成しました!

すでにyoutubeにアップされておりますので、
是非ご覧ください!
watch?v=LlSjJoRdS6c

なお、エンドロールの私のクレジットが
「大学教育機関責任者」という
ヘビーな感じになっている点は
お許しください(笑)

kibiso(キビソ)とは、蚕が繭を作る時、はじめにだす
糸のことです。鶴岡では明治維新以降、絹織物の
生産が地域を挙げて行われてきましたが、
その副産物として生まれたのが「キビソ」です。

かつては廃棄されていたキビソですが
現在では鶴岡織物工業協同組の皆さまの
御尽力により、希少価値の高い商品として
活用されるまでになってまいりました。

なおキビソの詳細につきましては、
下記のHPをご参照ください。
http://kibiso.jp/muscat2/
本プロジェクトでは、そのような
キビソの魅力を、より多くの方々に
認識していただけるよう、お手伝いを
してまいります。

また、本プロジェクトに関連した
公開講座を東北芸術工科大学の私の
講義の中で実施しております。
山形市近在にお住まいでご興味の
ある方は是非ご参加ください。
スケジュールは以下のとおりです。

■講義スケジュール
毎週月曜日 Ⅲ限(12:30-13:50)
場所:東北芸術工科大学本館3階306教室
①11/1  ガイダンス 担当教員 吉田正高
②11/15  シンクタンク報告:㈱QPR 清田智氏
③11/29  経済産業省 商務情報政策局 メディア・コンテンツ課 森田僚氏
④12/6  地域プロデューサー報告:鶴岡織物工業協同組合 大和匡輔氏
⑤12/13 コンテンツ・ビジネスプロデューサー報告 ㈱ファンワークス・高山晃氏
⑥12/20  クリエイタ―報告① 平林勇氏×岩井天志氏による対談
⑦1/17  映像製作に参加した学生による報告
⑧1/24  クリエイタ―報告② ㈱パンタグラフ

COMIC ZIN様での学会誌委託販売がはじまりました。

これまで学会誌は例会・大会、および一部の同人誌即売会でのみ購入することができましたが、今回、COMIC ZINさんに委託販売していただくことになりました。

コンテンツ文化史研究4号
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=7122

コンテンツ文化史研究3号
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=7123

コンテンツ文化史研究2号
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=7124

これまで遠方にて購入する機会のなかった方はぜひお求めください。また、COMIC ZINさんの店頭で4号をお買いいただきますと今井哲也さんの特典ペーパーがついてきます。ぜひお手にとってください。

なおバックナンバーはこちらのページでご覧いただけます。

大会お疲れ様でした。

無事に大会が終了いたしました。2日間にわたって、様々な方にご発表いただき、また様々な方にご参加いただき、委員の皆、大変喜んでおります。2日目の本日は午前中、山根さんによるアメリカのゲーム教育の発表。戸田さんによる日本の鉄道産業の発表。堀内さんによる歴史ファン(新撰組ファン)に関する発表、と三者三様の視点から非常に面白い発表が揃いまして、マイク係をやっていた身としても興味深く、乗り出して聞いていました。また午後に入り、出口先生による絵物語革命!の発表は、文化史という流れの中で今まさに起っている出来事を把握するという、まさしく「拡大するコンテンツ」にふさわしい充実したものでした。その後に開かれましたパネルディスカッションでは、あかほりさん、井上社長、松さんとそれぞれのお立場から「メデイアミックス」を時に歴史的に、時にご自身の体験から、と語っていただき、多角的に照射できたのではないでしょうか。

今後とも本学会をよろしくお願いいたします。

なお、大会の様子の一端がtwitterのつぶやきから把握できます。

1日目のつぶやき
http://togetter.com/li/70967

2日目:午前中の発表~記念講演
http://togetter.com/li/71303

2日目:パネルディスカッション以降
http://togetter.com/li/71298

大会に向けて:その7 大会は明日も続きます!

「向けて」と言いますか、もうスタートしているのですが、本日より大会が始まっております。午前中よりご参加いただきました皆様、お疲れ様でした。明日もぜひお越しください。

個人的には土曜日の午前中から参加される方は3名ぐらいで、もうその方々に話しかける感じで学会発表をするのではないかと思っておりましたが、そのようなこともなく様々な方にお越しいただき、ありがとうございました。私自身の発表は面白くないので放置しても良いのですが、他の方々のご発表は非常に興味深く拝聴しておりました。宮沢賢治を読みたくなりましたし、『ホーム』の連載漫画(?)もぜひ見てみたいです。またパネルディスカッションにご登壇いただきました岩谷先生、岡本先生、菅本先生にはこの場をお借りして御礼申し上げます。現在のコンテンツ教育が抱える様々な問題が浮き彫りになりつつも、今後への提言が行われ、実りある討論になったかと思います。

さて大会は明日も続きます。ゲーム教育、鉄道ビジネス、歴史ファン、といった個別発表に続き、出口先生の記念講演、そして「メディアミックスの歴史と展望」と題してあかほりさとるさん、角川書店の井上伸一郎社長、松智洋さんによるパネルディスカッションが行われます。プログラムはこちらです。今からでも参加登録は間に合いますので、ぜひともご参加をご検討ください。

それではまた明日お会いしましょう!

なお本日のtwitterでのつぶやきは以下にまとめられております。明日も#jachsでつぶやいてください。

http://togetter.com/li/70967